2014年11月22日放送 『新井英一の世界vol.288』

みなさん、こんにちは。「FM797ライブ!新井英一の世界」、私マサミがお届け致します。この番組では、ブルースシンガー・新井英一の唄の世界を毎週この時間にじっくり味わっていただこうと思っております。毎日寒いですねぇ、12月に入るまで辛抱しようと思っていた暖房ですが、風邪をひいてもツマラナイと電気カーペットを許しました。すると歯止めが効かなくなるんですね。次はヒーター、今週からガスストーブが加わって、既にフル装備です。今からこんなんじゃ、真冬は一体どうするんだろうと思いますが、その時はその時ですね、皆様はいかがされているんでしょうか?

 さて、思い返せば先週は、高知、岡山、姫路に加古川、名古屋に堺と、6つの街を訪れました。名古屋以外、すべて初めての土地でした。私の旅は大半が仕事です、用事が終わればサッと引き上げる、実に味気ないものです。通りがかりにない限り、名所とも縁がありません。代りに、道を尋ねるついでに入った古い喫茶店や昔ながらの食堂が、あたかもその土地の顔とばかり、いつまでも私の記憶に残ります。

 加古川はライブで訪れました。遅がけの開演だったこともあり、姫路でひと仕事終えてからゆっくり向かいました。姫路から山陽鉄道とやらに乗り、「浜の宮」で降りるのが、ライブ会場までの最短ルートと知りました。山陽鉄道って、地元民のまさに足なんですね、歴史を物語る車両からは、「この先もずっと現役だよ」と頼もしい声が聞こえてきそうです。
…姫路駅を出ると、車窓は一変しました。聞いたこともない地名に、真夜中とも錯覚する暗い駅の連続で、私は不安になりました。時間にすると10分程度でしょうが、ヤケに長く感じました。「浜の宮」に着いたのはまだ7時を過ぎたぐらいでしたが、やはりここも真っ暗です。駅前に1台だけ停まっていたタクシーが天の助けに思えました。なのに、運転手さんに行き先を告げると、「そんなところにライブハウスなんてあったかなぁ」と、また私を不安にさせます。今では笑い話ですが、この時の私、あらかじめチェックしていたライブハウスの写真がとても不鮮明だったため、店のイメージがマイナス過ぎました。「たぶん、僕が時々コーヒーを飲みに行く店でしょう」と言う運転手さんに、「あそこでコーヒー?あり得ないと思います、今夜だって私一人かもしれないのに…」、ライブの楽しみはどこへやら、気分はすっかり地の果てでした。

 しばらくすると視界が一気に開け、車は大通りに出ていました。ふと見覚えのある建物があり、看板も間違いありません。ステキな店だとはしゃいでいると、僕、そう言ったでしょーと、運転手さん、私が返事するまで、何度も繰り返していたのが可笑しかったです(笑)。このライブ会場、「オハナ」、ハワイの言葉で「家族」という意味だそうです、確かに可愛らしい建物で暖かい空気を周囲に放っています。お店の前には人が沢山いました。私が中へ入ろうとすると、気持ちがいいことに若い男の子が、「こんばんは!」、ハッキリした声で次々に挨拶してくれます。この時初めて、このライブの主催は噂に聞くボクシングジムだと気づきました。余す所なく、人で埋まった会場は、いかつい男臭さと、いい感じの女っぽさが互いを引き立て、いつになく、ツヤめいておりました。本日もこの夜から2曲を選んでお届け致します。唄・新井英一。『ブルースを唄おう』、続いて『流れ星』。

今週の曲紹介
『ブルースを唄おう』
『流れ星』 (いずれもアルバム「ブルースを唄おう」より)

放送時間17分 photo by /\lex


『新井英一の世界vol.288』の再放送は、11月24日(月)午後3時〜、11月25日(火)夕方6時30分〜です。