雨の中の店番

 数日前に届いた知人からのメールに、「次の日曜、『マルシェ』に出店するのでいらして下さい」とありました。場所は京大の向かいにある「アンスティチュ・フランセ」〜古かった建物を改築したと同時に名前もオシャレに改名したそうですが、我々古い人間には昔ながらの呼び方「日仏」しか通用しません〜、で、この日仏、前庭を使っていろいろ催しを定期的にやっているのです。そのひとつが『マルシェ』。知人が何売ってる人か全然知らないけど、なんだか楽しそうじゃないですか、「行きます!」とだけ書いて返信しました。

 で、昨日がその日曜。朝から雨…。雨になるとは聞いていましたが、こんなによく降るとは。出かけたくないよ〜。あんなズバリの返信しなきゃよかった。せめて「行きます!」の前に「晴れたら」と付けるべきだったなぁ、うん、次回からは絶対そうしよう。そんなこんなでだらだらぐずぐずして、時計が1時を回ったところで、ようやく重い腰を上げました。

 30代の頃、5,6年通っていた懐かしい建物です。ホントにフランス語が好きで楽しくて、ずいぶん勉強しました。でもね、言葉は、使わなきゃ忘れるものです、激しく悲しいほどに。

 早く帰りたかったものだから、真っ先に知人の店に行って挨拶し、「じゃあ帰ります」と言いかけたところで、「せっかくだからゆっくり見て回って下さい」と微笑まれて「そうですね」…。すごくいい匂いを醸し出してるソーセージ&ドイツビール屋さん、あ〜飲みたい!ワイン屋さん、買って帰ろうかしらのキッシュ屋さんetc…。

 そうそう、知人はフランス雑貨を扱っているのだそうです。雑貨と言ってもいろんな種類があるわけで、「具体的に?」と尋ねても、返ってくる答えが毎回よくわからない。それぐらい種類が多いのだろう、ということで私も追求しません。

 
 知人の隣のお店。試食販売でよく売れていました。ジャム屋さんだと思っていたら麹屋さんでした。

 ひと通り回ったし、今度こそ帰ろうと知人に挨拶をしに戻ったところで事態は急展開。彼、何を言ってるのかハッキリしないし、動作もぎこちない、というか、全身震えているのです。かぼそい声で「寒い…」、差し出した両手を触ってみると異様な冷たさ。朝からの雨で低体温に陥ってるようです。「上着は?」「ありません。こんなに降るとは思わなかった」って、明け方からザーザー降ってたでしょうが!このまま放っておくと病気になること間違いない…、仕方ないか…、「私、店番しててあげるから、家帰って着替えてくれば?」「いいんですか!?」「その代りすぐ戻ってきてよね」…というわけで、ただいま店番中。まったく商品知識のないまま売り場に立ってます、めちゃ不安。   

 今日買ったもの。無農薬野菜。3本100円のキュウリ。人参。丸っこいのはズッキーニです。そういえば最近の私、あちこち行っては野菜ばっかり買ってます。知人の店で買った、ナイフ型の皮むき器と小型ナイフ。普段使ってるペティナイフより、もっと小さいのが欲しくて探していました。千円程度なのにすごくよく切れるスグレモノ、オススメです。

 いったん上がっていた雨ですが、店番中にまた降ってきました。Tシャツ1枚じゃ寒いのなんのって。今度は私が低体温になりそうだと思ったところで、「すみませんでした〜」。黒いジャケット姿の知人が初めてたのもしく見えました。他のお店の方々も背中ずぶ濡れ、さぞやお風呂が恋しい1日だったことでしょう。