2015年9月26日放送 『新井英一の世界vol.325』・・・韓国・安東ライブ ラスト

 確か、ついこの間・9月になったばかりのはずが、気がつけば、残りわずかで、ビックリしてしまいます。ちゃんと生きてたんだろうかとスケジュール帳を確かめると、なるほど、毎日を塗りつぶすような勢いで色々書き込んでますねぇ。あー、この日は友人に頼まれてロックコンサートに行ったんだった、思いがけない人に出会ってラッキーな夜だった。そうそう、東京も行った行った、夕飯に地元の人たちと入った・角の古い居酒屋、何でもないものが美味しい店だったなぁ。次々浮かんでは消える、これら思い出の断片、決して忘れていたわけではありませんが、もっと遠い昔に思っていました。自称記憶力バツグンの私も、あてにならないですね。

 間近に迫った10月は、私、ふたつ楽しみがあります。もちろん、どちらも新井英一ライブです(笑)。最初の楽しみは、奈良の薬師寺が舞台です。周知の通り、薬師寺では毎年10月8日・9日は、2日間に渡り、『天武忌』と言って、お寺の基礎を築かれた天武天皇を偲んで大がかりな法要が行われます。今年はその初日・8日ですね、新井英一が唄の奉納を致します。薬師寺のHPによると、「大般若転読」が11時に始まり、それが終わった後、唄の奉納に入るようです。夜は夜で『万燈会』。圧巻ですよねぇ。高い空が蒼く染まる夕暮れ、無数の灯りが心に映し出すものを厳かに受けとめたいと思います。

 もうひとつの楽しみは、薬師寺のちょうど1週間後ですね、10月15日木曜日、舞台はガラリ変わって、と言うより、こっちが常ですが(笑)、元・酒蔵の『拾得』で唄います。この週の新井英一のスケジュール、薬師寺をあとにそのまま九州に直行、休みなく数か所のライブを行ったツアーの最後が京都ですからね、思いっきり磨きのかかったしゃがれ声を聴かせてくれると、期待しています(笑)。

では、本題です。シリーズでご報告して参りました新井英一、韓国・安東ライブも、本日でいよいよ最終回です。改めて振り返って、このライブを私流に表現するなら、新井英一の心の内側が表に出っぱなしのライブでした。心の内側とは、感情を指しているのではありません、1曲1曲に込めた、歌い手としてではなく、個人としての彼の想いです。新井英一にとって、唄うという行為は、誰より先に、まずは自分自身のためなんだと感じたんです。もちろん、それはあくまで私の主観です。でも、そう感じたことは、この安東のステージで、特に強く印象に残っていることです。伝えたいという気持ちが、愛と言う姿になって、沢山の人の元に届く、歌はいつでもそうあって欲しいものです。では、本日1曲目をお聴き下さい、『上を向いて歩こう』。

・・・・・

 ライブが始まる直前、日本から一緒に行った友人が、私に言いました。「今知ったんだけど、韓国ではアンコール・コールの習慣がないらしいよ。だから、その時が来たら、僕たちで手拍子と声をあげて会場を引っ張ろう」。・・・超がつくほど引っ込み思案の私ですが、これには頷きました。・・・ラストの曲が終わり、いよいよ、「その時」が来たと、身構えました・・・、でも、その必要はありませんでした。なぜって、会場には、新しい拍手と、怖々でバラバラながらも、アンコールを要求する声があちこちから聞こえてきたからです・・・

今週の曲紹介
上を向いて歩こう
『生まれてよかった』(いずれもアルバムなし)

放送時間17分

『新井英一の世界vol.325』の再放送は、9月28日(月)午後3時〜、9月29日(火)夕方6時15分〜です。