2015年8月22日放送 『新井英一の世界vol.320』・・・新横浜ライブから


お久しぶりです!8週間ぶりのスタジオです。番組は中断しないと宣言しておきながら、穴を空けてしまいました。やむを得なかったのは1回だけでしたが、お盆まで休むことにしました…無性に遊びたかったんです(笑)。ドライブ兼ねてライブに出かけたり、部屋の模様替えや、夜通しの読書、自分のためだけに台所に立つこともウキウキするほど楽しかったです。私のリフレッシュは成功に終わりました。皆様、引き続き、『新井英一の世界』を宜しくお願い致します。

 さて、本日は、行ったばかりの新横浜ライブからのピックアップです。このライブは、『ヴィソツキーとパリの男たち』とタイトルが付いておりまして、知る人ぞ知るロシアの英雄ヴィソツキーに、フランスを代表する、ジャック・ブレルやゲンスブール、ムスタキなど、超がつくほど個性的な、そうそうたる面々の歌を、新井英一ひとりで唄い上げるという、レアな内容です。ファンの要望で、昨年、神楽坂で開催されたのをきっかけに、金沢、新横浜と続きました。私は金沢のライブに行き、とても良かったので、今回も足を運んだという次第です。

 今日選んだ2曲は、常のライブでもよく唄っている曲です。珍しいわけではないのに、どうして選んだのか、その理由をお話しましょう。まず1曲目は、幻想的な美しい歌です。私もずっと、そう思ってきました。ところが、金沢で聴いた時も、いや、今回、よりはっきり感じて以来、歌の印象がすっかり変わってしまいました。原因は、「匂い」です。草原に吹く風、と言うと、清々しい草花の香り、のようですが、そうではなく、私の鼻先に吹きつけてきたのは、生き物としての植物の匂いが混ざった、生温かい風でした。この匂いは、唄の中で動くもの全てを原寸大に戻し、有り体に私に見せました。ライブは録音とは違い、その場限りです。ただ聴いてしまった以上、忘れることはなく、今の私は、耳では美しい物語を、鼻では生臭くもかぐわしい匂いをと、相容れない聴き方をしています(笑)。では、『エデンブルース』をお聴き下さい。

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 次も、同じく原曲はジョルジュ・ムスタキです。この日はアンコールで唄われました。あの時の私は、「今日も来た甲斐あった」と、残り1曲、すっかり気を緩めておりました。それがいきなり、心の中でとは言え、一人、大騒ぎし出したんです(笑)。それは、今まで聴いてきたものとは全く違う、歌という枠を破って、一人の男が目の前に現れたような印象でした。とても人間臭さを感じたんです。人間臭さが男を浮き彫りにし、その姿を私にはっきり見せつけたことで、彼が独りきりであることを確信したというわけです。孤独に怯えるか、孤独と手を結ぶか…、彼の声を聴いて下さい。今週2曲目です、唄・新井英一。『私の孤独』。


今週の曲紹介
『エデンブルース』
『私の孤独』(いずれもアルバム「オオカミ狩り」より)


放送時間17分


ソウルから南東にバスで4時間、安東という街で、8月25日新井英一ライブが開催されます。ユネスコ登録の美しい村で有名な安東とやら、ライブを聴きがてらちょっと行ってきます。次は旅の土産話などできたらいいですね。ではまた来週、同じ時間に。


『新井英一の世界vol.320』の再放送は、8月24日(月)午後3時〜、8月25日(火)夕方6時30分〜です。