2015年3月28日放送 『新井英一の世界vol.306』

 …今週もオープニングから1曲お送りしました。先週土曜は祝日でしたネ。友人に、どこかドライブに出かけない?と持ちかけたら、どこも混んでるから、ジッとしとくのが一番と断わられました。カラッポの1日を一人どう過ごそうかと持て余しておりましたら、1本の電話が入りました。会いたくてもここしばらく会えず、いつも気に掛けていた、その方からでした。電話の内容は、今夜二人でシャンソンを聴きに行かない?という素敵なお誘いでした。歌い手は、ご存知でしょうか、かいやま由起さん…若手の歌手だけでなく、ベテラン達も大いに頼る姉御肌といった感じなのですが、唄を聴くと、稀に見る繊細な女心の持ち主とわかる方です。滅多に関西に来られませんから、ここぞとばかりファンが押しかけ、99%が女性客というこの夜の会場は、ツヤのある熱気でムンムンしておりました。私は1年ぶりのかいやま由起さんの唄に、震えを覚えるほど励まされたり、忘れたはずの昔の恋を思い出したりで、いろんな理由の涙を人知れず拭っておりました。帰りは友人と二人、久々の再会と素晴らしいステージを喜び合いながら、時間をかけてゆっくり家路に着きました。

 さて、先週も申しましたように、今月31日、新井英一ライブが拾得で開催されます。日本初のライブハウスと言われる拾得は、1973年創業だそうですから、今年で42年ですね。一度座ってみたいと思いつつ、いつも忘れる畳敷きの客席や、決して座り心地がいいとは言えないのに愛着を覚える椅子代わりの酒樽も、当時そのままでしょうね。思えばここでいろんな唄を聴いてきました。先ほどの『さくらんぼの実る頃』を初めて聴いたのも拾得でした。最初は大胆な唄声に驚きながらもすぐに慣れ、目を閉じて聴いていたら、最後の最後、視界一面生い茂る、木の葉のみずみずしい青さが胸を突き、涙がボロッとこぼれたこと、よく覚えています。

 ではもう1曲、これも拾得の思い出のひとつです。この唄には、沢山の人が出てきます。そしてそれぞれの人生模様を見せています。そこにあなたは友人の姿を見つけるかもしれませんし、もしかしたら、あなたご自身の姿かもしれません。当番組『新井英一の世界』の基盤である曲をお聴き下さい。作詞作曲・唄・新井英一、リードギター・高橋望。『生きている内に生かされている内に』。

今週の曲紹介
さくらんぼの実る頃』(アルバム「ライブ・イズ・ベストvol.1」より)
『生きている内に生かされている内に』(アルバム「ライブ・イズ・ベストvol.2」より)

放送時間20分 photo by mozzercork

『新井英一の世界vol.306』の再放送は、3月30日(月)午後3時〜、3月31日(火)夕方6時30分〜です。