2014年12月6日放送 『新井英一の世界vol.290』

2月に入って、すでに1週間が経ちました。ホントにもう12月?、そう自分に繰り返し訊いているのは私だけではないと思います。街を彩るクリスマスのイルミネーションも、どこか遠い国のものに感じます。今年をザッと振り返ってみても、印象に残った出来事が脳裏に浮かぶものの、その数とても少なくて、365日の大半、私、一体何をしてたんだろうと不思議です。こんな風に、年々薄れていく時間の感覚は、年齢によるものだから仕方がないと思い込んでおりました。

先週帰省した時のことです。母が友人と開くクリスマスパーティの話をしながら、まだ作りかけのオーナメントをテーブルに広げ、「これは雑誌からヒントを得た」「これは何々…」、私にひとつひとつ説明し始めました。家事の合間に少しずつ作っているようです。あと2週間もすれば、お手製のオーナメントで飾られたツリー、母の目にはどんなに輝いて見えるんだろう、そう思うと、時間って、決して流されるものではなく、自分でしっかり捕まえるものなんだと気づき、気持ちが前向きになりました。

 さて、「12月は落ち着いたラブソングを」とリクエストがありました。わかりました、と安易に返事をしたものの、いざ選曲となると、意外と難しいテーマですね。というのは、新井英一という歌手は、唄の中の登場人物を表情だけでなく、心の中までほんの一瞬で描いてしまう、非常に優れた演出家、あるいは映画監督のようなものです。色にしても、ひと口に白と言っても、まっさらなノートの白さもあれば、青空にモクモク浮かんだ雲のような白もあります。ライブだと、同じ曲でも変化をつけ、歌一曲、いろんな角度から見せてくれるんです。…主人公の胸に・燃え盛る白い炎、果たしてこれは落ち着いていると言えるんだろうか…こんな真っ赤な曲はテーマに該当しないだろう…目の前ずらりラブソングを並べて、「ウ〜ン」なんて唸っています(笑)。でも何かと慌ただしい12月ですから、あまり深く考え過ぎず、サラッと行くことにして、これ、いいんじゃないかなと思う曲を2014年ライブで聴いたものから選びました。では参ります、唄・新井英一、『テネシーワルツ』、続いて『オールオブミー』。

今週の曲紹介
テネシーワルツ』
『オールオブミー』 (いずれもアルバムなし)

放送時間14分 


『新井英一の世界vol.290』の再放送は終了しました。