2016年4月2日放送 『新井英一の世界vol.352』…鎌倉ライブより

 4月に入りました。窓から吹き込んでくる風が爽やかで心地よく、あちらこちら開け放っています。行きつけのクリーニング店からセールのお知らせが届きました、お世話になったコート達、「また来年よろしくね」と、明るくお別れです。周囲もだんだんざわめいてきて、めくったばかりのカレンダーが、書き込みでどんどん埋まっていきますが、どれも遊びばかりという点に少々不安をおぼえてきた今日この頃です(笑)。

 先週は私、鎌倉へ行って参りました。プチ贅沢な週末旅行です。この街を訪れるのは今回2度目です。変わらないことの方がすっかり珍しくなってしまった昨今では、鎌倉と言えども2年のブランクは大きいかなぁと、若干の心配はありましたが、無用な心配でした。駅に降り立ったのは空気もまだ温まっていない早朝です、どこに行きたい宛もなく、時間つぶしにプラプラ歩いた小町通、民家の庭の白い木蓮が寒さに縮こまって見えたのが印象的でした。

 この旅行の目的はもうお察しのことでしょう、そう、新井英一ライブです(笑)。会場は前回と同じく、鎌倉駅近くの『妙本寺』という由緒ある大きなお寺でした。門をくぐってしばらく歩くと道が二手に分かれます。どっちだったっけ?…考える前に噴き出してしまいました。一目瞭然、これでもかという量のポスターが導く通りに進めばいいのです。クスクス笑いながら、樹木生い茂る急な石段をのぼっていく内、少しずつ意識が変わっていきました。一段一段が世間の穢れを落としてくれるようで、ようやくのぼり切ると、振り返った鎌倉の街がなんだか下界に思えました。

 今回の鎌倉、ライブのテーマは、『新井英一、シャンソンを唄う』。知った時は驚きましたよ、だって、ここだけの話、つい数年前まで、「お寺でシャンソンは唄わない」って本人はっきり言ってたんですからね(笑)。シャンソンの何がいけないのかと、シャンソン好きの私なんか疑問に思っていましたが、人間が丸くなったのか、こだわる部分を変えたのか、理由は何であれ、ノーと言ったらノーの新井英一、その柔らかい変化をファンとして嬉しく思っています。

 簡単にライブの報告を致しますと、新井英一のシャンソンの魅力を、またひとつ発見したことが私にとっては何よりの収穫でした。ひとひねりふたひねりの、クセの強いシャンソンを唄いこなす新井英一が、まっすぐに唄った時、唄はここまで威力を発揮するのか、改めて思い知らされました。残念ながら音源がないため、単に私の印象にしかなりませんが、そういう歌手のようだぐらいは記憶の片隅にとどめておいていただければと思います。

 では、後半も引き続き鎌倉ライブから、2曲お楽しみ下さい。改めて、唄・新井英一。『暗い日曜日』。続いて、『人の気も知らないで』をどうぞ。

今週の曲紹介
『泣く友を見る』 (アルバム「オオカミ狩り」より)
暗い日曜日』 (アルバム「生きる」より)
『人の気も知らないで』 (アルバム「ライブイズベストvol.1』より)

放送時間20分

『新井英一の世界vol.352』の再放送は、4月4日(月)午後3時〜、4月5日(火)夕方6時15分〜です。