2014年10月11日放送 『新井英一の世界vol.282』

 みなさん、こんにちは。「FM797ライブ!新井英一の世界」、私マサミがお届け致します。この番組では、ブルースシンガー・新井英一の唄の世界を、毎週この時間にじっくり味わっていただこうと思っております。

 冒頭からお聴きいただいたのは、「こうのとり」という曲です。日本語訳は別として、この曲を作ったのは…、皆様、ウラジミール・ヴィソツキーという名前を聞かれたことはございますか?よほどソ連に興味のある方でない限り、そうそう・イエスとお答えになる方はいないでしょうが、映画好きの方なら、名前は知らずとも、すでに接点をお持ちかもしれません、85年のアメリカ映画『ホワイトナイツ』はご覧になりましたか?、ロシアのバレエダンサー・バリシニコフが・大音量のラジカセで踊る、迫力のシーンありましたね、あの時流れていたのが、ヴィソツキーでした。私、ストーリーも他のシーンも全然覚えていないのですが、この踊るシーンだけは30年近く経った今でも、記憶にハッキリ残っています。奥様は、フランスの名女優、マリナ・ヴラディと申し上げれば、更に親近感を持たれたのではないでしょうか。

 実はこの連休中に開催される、新井英一ライブ『ウラジミール・ヴィソツキーを唄う』に、私も行くはずだったんです、既にチケットも入手していたのですが・行けなくなりました。レアなライブですからね、思いっきり情感込めて、ラジオでご報告しようと夏から楽しみにしていましたが、どうしようもありません、よって、京都の片隅から、今週と来週の2週に渡って、小さくヴィソツキー特集をお送り致します(笑)。

 1980年、42歳の若さで亡くなったヴィソツキーは、名優と称される舞台俳優であり、詩人でした。60年代に参加した運動で、政府への批判を歌にした弾き語りを始め、やがて国民の心の支えになります。ギター片手にたった一人で・大きな政府に立ち向かった、勇気あるヴィソツキーの行動、私、彼のCDを1枚だけ持っていますが、聴くたび、その迫力に引き込まれます。メロディはとりあえずついてるといった感じで、歌というより訴えです。言葉はわからずとも、体制への不満、批判、苦しみなどがこちらにも伝わってきます。彼の歌が禁じられた状況下、国民達はカセットテープに吹き込まれた彼の唄をこっそり回し合い、勇気づけられていた、という有名なエピソードも納得できます。

 ポーランドにある「ヴィソツキー記念館」では、各国の言葉でヴィソツキーの歌をカバーしたアーチストのCDもコレクションされているそうです、日本の歌手として選ばれたのは新井英一です。「あなたは知らずとも、ここを訪れる世界中の人があなたの唄声を知っています」、そんな手紙が記念館の館長より新井英一の元に届いたと、いつだったかのライブで嬉しそうに語っていました。では、後半2曲をお聴きいただきましょう、『大地の唄』、続いて、『無名戦士の墓』。

今週の曲紹介
こうのとり
『大地の唄』
『無名戦士の墓』(いずれもアルバム「オオカミ狩り」より)

放送時間14分

この回の再放送は終了しています。