季節のお料理とワインの会・・・『bistro HAL』・市役所前

 7月14日、祇園祭宵山の京都は朝から夕方まで何度、雷雨に見舞われたことでしょう。洗濯物を干したところでピカドン!、車の教習で駐車場に向かう最中にピカドン!強風と豪雨と雷の中、ものすごく心細かったですが、先生を迎えるために車内を冷やしておいてあげようと、まだよく分からない機械をいじくっていたら、車のバッテリーが上がってしまった…。そこへ到着した先生、雨の中、頑張ってくれました。気を効かせたつもりが余計なことしなけりゃよかった…。5時過ぎに教習が終わり、6時までしばしゆっくり。私が何かしようとしたら雨が降る本日、せめて最後はやめといて…そう願いながらお出かけをしました。

 やってきたのは人気のビストロ『ハル』。小ぢんまりした清潔なお店です。レストランの地域検索では「京都市役所前」となっておりますが、正確には真裏です。今夜はここで料理とワインの会があるのです。雨上がりの夕暮れ、街の色がいい感じ♪

前に一度来たことのある『ビストロハル』は、若いご夫婦で切り盛りされています。手前の男性は今夜だけ参加。いつもお世話になっているワイン屋さん、『カーヴ・ド・エビナ』の後継者です。私を見るなり「まさみさん、いらっしゃい!」…なんで私を知ってるんだろうなんてトボけたことを思ったのも、いやぁ、男の人って急激に変わるもんですねぇ〜、以前はこんな貫禄感じなかった、よって全く海老名さんの息子さんだと気づかなかったのです。この写真を撮っている時はまだ気づいてない時。てっきりお店のご主人だと思ってて、厨房の中と外、なんでご主人が二人いるんだろうと首を傾げておりました(笑)。

さぁ全員揃ったところでいよいよ会の始まりです。お腹空いたぁ〜〜〜、喉乾いた〜〜〜

食前酒はブルゴーニュの『Aligote(アリゴテ)2011』。キレの良いフルーティな味が喉を潤し、食欲をグンと湧かせます。

日本で言う付きだしのアミューズ・グールは、夏らしいガスパチョと、イワシにポテトをのせて焼いたもの。このイワシが私はとても気に入りました。イワシの香りを口の中に残したまま、アリゴテをひと口含むと「うわぁ〜♪」。ワインのキレの良さが味の邪魔をしないのです。いい組み合わせだと思いました。

アリゴテに『クレーム・ド・カシス』を加えると「キール」が出来上ります。白ワイン+クレーム・ド・カシス=キールだと思われていますが、本来のキールはアリゴテがベース。「よろしければどうぞ」と回していただいたクレーム・ド・カシスでしたが、「いいえ、私は結構です」。すでに完璧だったので別の味は要らなかったことも理由ですが、グラスがほぼ空だったことが何よりの理由でした(笑)。

いよいよ本格的なお料理の開始です。前菜に合わせたワインは『Clairette de Die Grande Tradition(クレレット・ド・ディ・グランド・トラディシオン)2009』。ローヌ地方の、柔らかな発泡性のワインです。実はこれ、口に含んだ瞬間、会場から歓声が上がりました。

クレレットと共にいただくお料理は、『フォアグラ、鴨、とうもろこしのテリーヌ』。かかっているソースはマンゴーです。フォアグラの甘さがクレレットにめちゃめちゃ合います。クレレットは若干甘めのワインなのです、「金木犀?」…私はほのかな花の香りを感じました、とは言え、再度しっかり確認しようとすると分からない、非常に繊細な花の香りです。このテリーヌもよく出来ていました。ゴロゴロねっとりしたフォアグラに所々の鴨の食感がアクセント。つなぎの生地はとうもろこしのポレンタ…だと思うのですが(定かではない)、これもフォアグラの甘さを引き立てています。なんだかヒジョーにシャレたものを食べさせてもらってる感があり、ゴキゲンでした(笑)。

さてお次は魚料理。こちらは『Bandol(バンドル)2011』というロゼです。バンドールは地中海に面したリゾート地。日本人でもイメージ付きますよね、ヴァカンス、海と言えば、ヨットはつきもの。このボトルはヨットに揺られても倒れにくいようデザインされたものなのです…と以前参加したワイン試飲会で、お父様の海老名氏に教えていただきました。私がそう言うと、皆さん、「お詳しいですね、通なんですか?」と目を丸くされておりましたが、3度も同じこと言われれば自然と覚えますよ、自分でも買って飲みましたし。ゆっくり飲んで行く内、温度が変わってきて味も変わって行くのが楽しめる逸品です、最初のひと口と後半はかなり変わりますよ。

バンドールと共にいただくのは『鱧、帆立のムース、トマト風味のコンソメ仕立て』。ふわふわの鱧も、クネルのような帆立も、特に味の主張をしないよう全体に優しく仕上げてある中、トマトの程よい酸味がいいアクセントになっておりました。前菜のテリーヌもこの魚料理も、写真で見るより、実はかなりボリュームがあるんです。この時点でかなりお腹いっぱい…。でもスプーンで最後の一滴までスープ飲み干しました。

今夜初めての赤は『MoreyーSaint-Denis 1er Cru(モレ・サンドニ・プルミエ・クリュ)1999』。5〜10年で飲み頃になり、さらに15〜20年(保存状態が良ければの話ですが)寝かせて飲めるそうです。私が一番好きなワインはブルゴーニュのもの(高くて買えないから滅多に飲みませんが…)。以前そう言ったら、海老名さんは「その発想は間違ってる、ワインは料理に合わせるもの、料理に何を合わせるかだ」とおっしゃいました。なるほど。でもブルゴーニュが好きなんです(笑)。

ノワール・ド・ビゴール豚のロースト&コンフィと夏野菜、バルサミコと赤ワインのソースで』という長い名前の肉料理。その通り2種類のお肉が組み合わせてあります。よく考えてあると思いました。ほとんど満腹なのですが、味が変わるため、余裕で入るのです。全体にシンプル、こねくり回さない味が良かったです。

デザートは『桃のコンポート、ハチミツとヨーグルトのソルベ』。シマッタぁぁぁぁ!!!!ワイン撮るの、完全に忘れておりました。今回また、ものすごく気に入った『Muscat de Beaumes de Venise(ミュスカ・ドゥ・ボーム・ド・ヴニーズ』。甘いワインがこれほど美味しいものと教えてもらい、毎回楽しみにしていると言うのになんで忘れるのでせうか。デザートのワインは小さなグラスでいただきます、ちょっと特別感があり、可愛くて、見るからにいいんですよねぇ♪ このミュスカは「フレッシュさを充分に引き出すには、若いうちに飲む」と辞典にも書いてある通り、いつもいただく貴腐ワインのようなネットリ感はなく、軽やかながらも質の良さが伝わってくる甘さでした。よし買おう!

なんてことありませんが、最後の締めくくりは毎度のごとく、コーヒーにて。ここ1ヶ月とちょっと、ダイエットのため、お酒はほとんど口にしておりませんでした(その分食べて全然痩せてませんが)。そのせいか酔いも早く回り、いい気分。『ビストロハル』は今後、年に4回のペースで料理とワインの会を開催される予定だそう、春夏秋冬それぞれの味覚が堪能できます。次は11月と聞きました。いい季節ですねぇ、新井英一のライブと重ならない限り(!)参加することに決めました。大きなお店ではございませんので人数も限られております。ご興味ある方は早めにお問い合わせされることをおススメ致します。

海老名さんにとても会いたくなりました。息子さんに「連休が明けたらお店に行きます」、そう言い残して会場を後にしました。自宅までは二条通を一本道。ほろ酔いの足取りでふらふら歩いていると、いつもは静かな二条通が何やら賑やか。そうだ、すっかり忘れてた祇園祭。何の予定もない明日の夜、散歩がてら、ひとり出かけてみましょうか。