2016年5月21日放送 『新井英一の世界vol.359』

 
 新井英一・京都カフェアンデパンダンライブから既に1週間が経ってしまいました。多くの方にご来場いただき、大変嬉しく存じております。いつも思うのですが、好きなものをみんなと共有する時間ってホントにいいですね。どんなに素晴らしいものでも、自分一人だと、花に例えるならつぼみのようなもので、それ以上の成長はありません。でも誰かと分かち合うと、そこから会話が生まれ、沢山の花が開きます。一人で噛みしめる良さも分かりますが、心底好きなものだからこそ、私はみんなと共有する方により多くの喜びを感じます。

 さて、新井英一は、今、スペインの突き抜けるような青い空の下、一体どの辺りを歩いているのでしょうか。アンデパンダンライブを終えるとすぐに、彼は長い巡礼の旅に出発致しました。ピレネー山脈の麓、フランスのサンジャン・ピエ・ド・ポールから、目指すはキリスト教三大聖地のひとつである、サンチアゴ・デ・コンポステーラまで、計800キロの道のりを、1日25キロずつ、ひと月かけて歩くのだそうです。800キロと聞いてもピンと来ず、調べてみましたら、京都からだと福島辺り、東京〜広島間がだいたいそれに相当するようですネ。京都市を東西に、端から端が29キロだそうですから、「なるほど、京都市を毎日横切るようなものか・・・」、距離やイメージを自分なりにつかみたくて、身近な感覚に置き換えてみましたが、例えが悪かったようで、大変さよりメンドクサさが勝ってしまいました(笑)。

 巡礼の旅と聞くと、単純な私に思い浮かぶのは、ぼろぼろ泣きながら何度も観た映画『砂の器』しかありませんから、新井英一は、なんという辛く悲しい旅を決心したんだろうなんて思い込んでいました。ついでにこれもネットで見てみますと、映画とは真逆、とても楽しそうな雰囲気でビックリです。世界中から数万人規模で集まるその巡礼の道は、人種のるつぼで、いろんな国の「こんにちは」がさぞや飛び交っていることでしょう。また、手段にルールはなく、徒歩はもちろん、自転車、バイク、はたまた馬でもいいのだそうです。若い人が圧倒的で、新井英一と同じ60代は、参加人口の1割ほどらしいですが、彼曰く、「確かに不安はあるけど、人が出来るなら俺にだって出来ると思ってる」。ハイ、私もそう思います!地道に一歩一歩進む旅はしんどいことの方が多いでしょうが、1日の終わりは、美味しいワインと料理でしめくくり、あとはぐっすり眠る…、人間これ以上に必要なものなんてあるかしら、ああ、私も行ってみたいと、今は憧れを抱いております。

 では音楽に参りましょう。本日はアンデパンダンライブから2曲、私の大好きな唄をピックアップ致しました。ライブに行かれた方はしばしあの夜に戻っていただければと思います。それでは、唄・新井英一。『5月のバラ』、続いて、『港で待つ女』をどうぞ。

今週の曲紹介
『5月のバラ』
『港で待つ女』 (いずれもアルバムなし)

放送時間17分

『新井英一の世界vol.359』の再放送は、5月23日(月)午後3時〜、5月24日(火)夕方6時15分〜です。